音楽工房MOXがオープンしました

平成14年6月、卸町に「演劇工房10BOX」が誕生しました。このまちに初めての文化施設〜ここから仙台卸商センターとの新しい文化交流がはじまりました。さまざまなジャンルの人々との出会いから新しいヒントが生まれ、新しいまちづくりのシンボルとして音楽施設建設の気運が高まりました。それはビジネスビル「卸町会館」の大変身、音楽工房MOXの誕生です。音楽と演劇のコラボレーションによる文化の定着。真っ赤な情熱タワーと多彩な要素を備えた音楽スタジオによる異空間にまずは触れてみて下さい。

仙台卸商センターの挑戦

仙台卸商センターが誕生して40余年。時代は大きく変わりました。
今、仙台卸商センターは「人に愛され、人が集まり、人が住めるまちづくり」をテーマに「新しいまちづくり構想」を積極的に進めております。
時代の変化を読み取り、未来につながる新しい取り組みを始めました。それは卸機能に特化したビジネス街から、人が集い、楽しみ、生活できるまちへの変身の試みです。商業のみならず、文化・芸術・スポーツ等、人々の生活全てを包み込むまちそのものの創造と再生です。


音楽工房 MOXの誕生
日東紡音響エンジニアリング(株) 出口 公彦

音楽練習場(卸町会館地下改修工事)の計画について

プロローグ

 東北大学の坂口先生から仙台で練習場の計画があり、一度打合せをしたいとご連絡を頂き、まだ桜の季節にはちょっと早い仙台(実際に東京に比べるとかなり寒かった)を訪れた。
 はたして仙台の音楽事情はどんなものか?
 実際のユーザーさんはどんな人たちなのか?
 今度はどんな練習場になるか?と色々と思いを巡らせた。
 首都圏ではこのところ生存競争が激しく、より良い音を求めて若者たちが練習場に集まってくる。
 「本当に、日本人も変わったものだ」と痛感させられる。みんな本当に耳が良くなっている。
 生活の中に良く音楽がしみ込んでいて、それぞれが自分の耳で判断し、より良い環境の練習場を探し出してくる。
 そして、この仙台に、すばらしい練習場が誕生した。


1. 音楽練習場の遮音計画     

 練習場の構造は、求められる性能によって決定する。     
音楽練習専用のスタジオの場合は必然的にドラムを対象にして計画を進める という性能の要求が当然である。 今回のような複合施設での練習場の場合の性能の決定には、ビル内部のユーザーサイドの音(静けさ)に対する認識がどの程度あるかによってかなり違いが出てくる。宿泊施設や事務室のあるこの会館では、特に遮音性能には、細心の注意を払って計画を行なった。
 どの程度の音が発生するか、施工後にどの程度の音が聞こえるようになるかを擬似音の音源を作成して実際に体験して頂き、再度遮音性能の見直しを行い、工事を行なっている。


2. 音楽練習場の構造

 音楽練習場の構造は、大きく分けて遮音構造と吸音構造という2つの基本構造から成り立っている。防音設備は「吸音材を使う」と言うことで解決される様な、間違った認識が多く、この2つの仕組みの違いに注意をする事が必要である。      
  実際に、グラスウールのような吸音材を使うと、防音工事をしたように言われることが多く、それらは、根本的に「防音工事とはまったく別の物」である事の御理解を頂き、今回のMOXはトップクラスの遮音と吸音の構造を採用している。 この音楽練習場は、本格的なレコーディングスタジオと同様の浮構造を採用し、躯体の中にもう一つ箱を作るというBOXinBOXと言う完全浮構造になっている。 遮音構造内訳 浮床・・・・・・防振ゴム+GW+合板+コンクリート100t  固定遮音天井・・LGS+GW+石膏ボード15t×2層 浮遮音天井・・・防振ハンガー+LGS+GW+石膏ボード15t×2層 浮遮音壁・・・・LGS+GW+石膏ボード15t×2層 以上が遮音の構造であり、更にこの内部に吸音構造(仕上)を構築している。 音楽練習場では、広い音域の音が部屋の中で同時に発生してくる。
 遮音の構造のままではいつまでも音が響き続けて、音が充満してしまう。こうな るととても演奏どころでは無くなってしまう。 そこでこの幅広い音域の音を効率よく吸音し、更にすぐに吸音されてしまう音は、逆に乱反射をさせるという工夫を施すことによって、演奏者にとってより良い音響空間を提供している。
  施工後、ユーザーさん(仙台卸商センター)、音楽練習場の上階(卸町会館1階)テナントさん立会で、遮音性能の確認を行った。練習場からまさに「大音響」とも言える平均105デシベルの音源に対し、上階では当初設計通りの40デシベル以下の遮音性能が確認できた。
  一方、練習場内の吸音構造については、8月1日開業後、訪れる利用者から使い易い(音が廻らない。自分の声や相手の音が確認でき演奏しやすい。)と好評とのこと。高品位の室内吸音が理解され、利用者が増加していることは、設計に関わりを持った者にとって嬉しい限りである。

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